2005年 9月 15日
皆も知っての通り、宇宙はビッグバンという爆発で始まり、現在も膨張を続けている。
誕生したての宇宙は高温かつ高密度。
高エネルギー粒子が飛び交っている世界。
けれど宇宙が膨張するにつれ次第に温度が冷え、陽子が電子をとらえるようになり、初めて原子が誕生する。ビッグバンから約30万年後の出来事です。
これにより、それまで陽子や電子との衝突によって行く手を阻まれていた光子(フォトン)が自由に宇宙空間を動けるようになる。
宇宙の晴れ上がり、と呼ばれるのはこの時期。
NASAのWMAPという宇宙探査機はこの時代の光、宇宙マイクロ波背景放射を観測中。
WMAP が見た宇宙の晴れ上がり ビッグバンから約30万年後の宇宙の姿(画像:NASAーWMAP) |
宇宙の晴れ上がり以降、それまで電離状態だった宇宙は一転して、中性ガスに満たされるようになる。
高エネルギーで賑やかだった宇宙は一変、くらーく冷たい世界に。
なので晴れ上がり以降は 天文学用語で 宇宙の暗黒時代(Dark Ages) と呼ばれている。
暗黒時代(Dark Ages) や暗黒物質(Dark Matter)、 暗黒エネルギー(Dark Energy)など、天文用語は 暗黒系 が多いかも?! (画像:ウィキペディア「ダース・ベイダー」より) |
このときの宇宙は完全に均質でなく、いわばちょっと「むらむら」。
この密度のむら(ゆらぎ)。
初めは小さいものだったのが自己重力により、時間がたつにつれ次第に顕著になってゆく。
そしてついに。
ゆらぎ密度の高いところから宇宙最初の天体が誕生する。
シミュレーションが描き出す、宇宙で最初に誕生した星 天文用語では Population III (種族IIIの星)と呼ばれます。 画像:NASA-WMAP |
この天体から放たれる紫外線エネルギーによって周りの中性ガスは電離されてゆく。
つまり原子が陽子と電子にまた分かれる。 暗黒時代の終焉です。
宇宙の再電離とよばれるこの時期。
宇宙の晴れ上がりから約10億年の間にかけて起こったとされている。
これ以降、次々に誕生してゆく天体によって、宇宙は今も電離したガス(プラズマ)に包まれた状態にある。
おおざっぱだけど、これが現在考えられている宇宙の電離のお話。
でも。
宇宙がはたして いつ、どうやって 再電離されたのかまだよくわかっていません。
「電離してるっていうのは今の観測でわかってるけど、どの時期に起こったのさ?」
「そもそも宇宙を再電離させた奴は、一体全体どこのどいつなのじゃ~。」
星★?
もしくは銀河?
それとも、超・巨大ブラックホールを有するクエーサー?
と。
私も含め、世界中の天文学者が目下血眼になって研究中なのであります。
そんなわけで、なにが言いたいかというと。
今日の再電離のシミュレーションのトーク、すっごい面白かったー。
最近、いろいろな雑務に追われて、目的を見失いがちだっただけに、心が洗われるようでした。
トークの最中、面白くって胸がドキドキしっぱなしだった。
そして、そんな自分が嬉しかった。
あ~。やっぱり私、研究好きなんだなぁって。
正直、ちょっと安心した。(笑)
トークの後、談話会のスピーカーと私の指導教官軍団と一緒にダウンタウンのIndigoというおしゃれなレストランでディナーを食べてきました。
ちなみにこのレストラン、前菜が10ドル以上。メインディッシュは大体25ドル以上なので飲み物を頼んだりすると一人50ドルはしてしまう。
薄給大学院生にはつらいお値段でございます。
でもボスのおごり~♪
みんなでワインを飲んで、前菜をシェアしていっぱい食べてきました。おいしかった~♪♪
皆も知っての通り、アメリカのメインディッシュの量は日本の2倍かそれ以上あるので、食べきれなかった分はお持ち帰り。
明日のブランチにいたします。
宇宙と美味しいごはんで、すっかり元気になった今日の私なのでした。(た、単純?)
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