10.02.2012

ハワイ島マウナケアにて。すばる望遠鏡のお隣のツイン(双子)の10mケック望遠鏡。
富士山よりも高い、標高4200mのマウナケア山頂は南米チリに並んで天体観測のメッカとして名を馳せています。


はじめまして! 天文学者の嘉数悠子(かかずゆうこ)です。
ブログをやろうやろうと思い早や数年、、、ようやく重い腰を上げて始めることにしました。
ここでは私の日常生活、海外での暮らし、そして天文学・科学について書いていこうと思います。

栄えある(?)第一回目の投稿は自己紹介。



私は13歳の時に参加したNASAスペースキャンプがきっかけで、天文学者を志すようになりました。生まれも育ちも沖縄、生粋のうちなーんちゅですが、高校卒業後沖縄を飛び出してからは様々な土地で暮らしてきました。仙台(大学)、カリフォルニアはサンタクルーズ(大学交換留学)、ハワイ(大学院)、フランス・パリ(研究員)、南カリフォルニア・パサデナ(研究員)そしてシカゴ。

現在はシカゴ大学(University of Chicago) 天文学・天体物理学科の研究員として、銀河の形成と進化を研究しています。ハッブル宇宙望遠鏡のデータはもちろん、ハワイ・マウナケアにある日本が誇るすばる望遠鏡、そして最近では南米チリにあるマジェラン望遠鏡を使っています。

天文学者というと一般の方には「ロマンチックな職業」と思われることが多いのですが、実際はコンピューターに向かってひたすらプログラミング、データ解析、そして論文を書くのが主なので結構地味な仕事かもしれません。また観測中も夜空を眺めるのは天気をチェックするときくらい。大部分の時間は観測室にてコンピューターのモニターに映される天体画像や分光データを確認しています。望遠鏡を動かすのも、データを取るのもすべてコンピューターによる操作です。そのためか天文学者なのに星座を知らない、というのはよくある話です。

すばる望遠鏡の観測室の様子。望遠鏡ドームの中は装置の不備などないかぎり観測中は入りません。観測室内は電気、水道、暖房も完備しているので快適です。とはいっても、高山病にかかりやすい私は哀しいかな、処方薬を飲み、携帯用酸素ボンベを抱えながらの苦しい観測です。写真をよく見ると私が酸素ボンベを使用しているのがわかります。



けれど観測中、「今、私はまさに120億光年かなた先の銀河からの光をとらえているんだーー」、と思うとかなりゾクゾクします。綺麗な分光データが取れたときなんて鳥肌が立ちます。また私は生まれたての、若い銀河の研究をしているのですが、若いと言っても数百万年の年をとってます。

なので天文学的なスケールで日常生活を眺めると、たとえ嫌なことがあっても少しはおおらかな気持ちになれるかもしれません。

これから天文学を通して科学の楽しさを皆さんと共有できたらいいな、と思っています。
また普段の生活で気づいたこと、海外生活ならではの楽しいこと、困ったことなども書いていこうと思います。

日本を離れ久しく、普段は日本語を話す環境にいないのでたまにおかしな日本語表記があるかもしれません。ブログを書くことで日本語の文章能力が少しでもアップするといいなぁと思っています。

これから先、どうぞよろしく御願いたします。

追記: 大学でのHPはこちらです。マウナケア山頂での観測風景や趣味のパン作りの写真を載せています。




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