バイオ・エンジニアリングの会社(Modern Meadow, Organova)の共同創業者、Andras Forgacs 氏によるスピーチで詳しく説明されています。
英文記事はこちら。
3D printed meat could soon be cheap and tasty enough to win you over.
家畜による地球温暖化
私自身、数年前まで知らなかったのですが、家畜による地球温暖化の影響は実は深刻です。
とりわけ牛の ゲップ や おなら であるメタンガスは、CO2(二酸化炭素)のなんと、約20倍の温室効果があるとされています。(参照文献: United States Environmental Protection Agency)
牧畜が主産業であるニュージーランドでは、温室ガスの有に30%が、牛や羊が放出するメタンガスのせいだとされています。
世界全体ではもう少し低くて、18%。
それでも温室ガスの18%が家畜起因だなんて、オドロキですよね。
しかもこの数字、調査によってはもっと高かったりします。
人口増加に伴い家畜の生産量は年々向上しているのですが、このままだと2030年までには家畜起因のメタン排出量は、現在の60%近くも上昇すると考えられています(参考文献)。
家畜を飼育するには飼料、そして水も大量に必要とされます。
家畜用飼料の生産、そして家畜の飼育に使われている土地は、氷土をのぞいた世界の陸地の約3分の1を占めているそうです。
家畜飼育に必要となる水は、世界の水の供給の約8%も占めているそうな。
余談ですが、アメリカにおける牛肉の消費量は、日本の約10倍の1200万トン。
国民一人あたりの消費量ですと日本人の約4倍です(参照文献)。
世界人口が増加傾向にある中、一人あたりの肉の消費量が激減しないかぎり、肉の供給量は数十年で危機的状況になります。
人工牛肉のテクノロジー発達
そんなわけでバイオ・エンジニアリングを駆使した 人工牛肉 の開発が欧米では行われています。ちなみに遺伝子組換えによるサーモンの飼育もされています。まだFDAによる販売認可はされていませんが。
これまでにも牛の組織をラボで育成し、人工牛肉を作る試みはされてきたのですが、味や食感がかなり劣ること、そして値段がかなり高いことが問題でした。
Forgacs氏の会社は牛の細胞組織を育成し、細胞凝集(cell aggregate)を媒体に3D印刷することで、実際の牛肉の食感にかなり近い人工牛肉を作ることに成功したそうです。
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3D印刷+組織エンジニア=生体印刷 |
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人工肉の作成の工程図 動物を殺すことなく、細胞組織を採取するだけでお肉が出来るそうです。 |
人工牛肉の利点ですが、
・動物を殺さずにすむ
・メタンガスの排出が大幅に減るので、地球環境に優しい
・飼育に必要な水や飼料も不必要となる
などが挙げられます。
今は1パウンド(約450グラム)の肉を作るのに、数千ドルかかるそうですが、印刷技術が向上すれば、お値段も安くなるそう。
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2050年までには人工肉は牛肉、豚肉、鶏肉のどの肉よりも安くなるそう。 |
でも正直なところ、そこまでして、肉食べたいのか、、、と最近お肉をあまり食べない私は思うのですが、3D印刷技術はバイオにまで発達しているとは知らなかったので、オドロキでした。
環境にやさしい肉 としてマーケットに出現する日も近いかもしれません。
ちなみにこちらは、レゴで作られた3D印刷機です。
ドリル以外のパーツすべてレゴで出来ています。こちらも別の意味でスゴイです。
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