〜ハワイ大学院生時代に綴っていたmixi日記からの転載シリーズ〜
2006年 6月 19日
観測室からこんばんは。
現在ハワイは午後九時を過ぎたところ。
観測も順調、、、と言いたいのだけど現在マウナケアの湿度95%!
この状態でドームを開けてしまうと、装置や望遠鏡に水滴がついてダメになったり、最悪凍り付いてしまうので、湿度が80%以下になるまで待機しなければなりません。
忍耐。ニンニン。
眠気ざましにここ数日のできごとを書いてみます。
観測前日(水曜日)
水曜締切りの仕事を半徹夜で終え、やれやれ、これで寝れるーと思っている私のところに、リチャードが突然やってきた。
ハワイ大学はマウナケアにある全ての望遠鏡を年間15-20%使用することができるのだが、リチャードはこのハワイ大の持つ膨大な日数の望遠鏡・観測時間を一人でコーディネートしている。 オーストラリア出身の教授で、私の博士審査のコミッティーメンバーでもある。
私のオフィスに入ってくるなり、まず一言
「 Yuko、UH88で明日から観測しない? 」
UH88とはハワイ大88インチ(2.2m)の望遠鏡の通称名。
口径は小さいが広視野の赤外カメラを有し、100億光年かなたの銀河を捕らえたり、土星の衛星を見つけるのに役立ってきた貴重な望遠鏡である。
数年前からリモート(遠隔)観測モードに切り替わり、現在TO(テレスコープ・オペレーター)はマウナケア麓の町ヒロに、観測者はコンピュータ・ネットワークを通じて世界中どこからでも観測することができる。山頂は無人なので、装置に問題が生じた場合はなにかと不都合なのだが、ほとんどの装置は安定しているのであまり問題にもならない。
リチャードが言うには、今週末とりつける予定だった装置の調子が良くないため、急遽私が前々から使いたかった装置が取り付けられることになったそう。
もちろん、こんな棚からぼたもち、見逃すわけにはいかない。
二つ返事で 「Yes!」 と答え、急いで観測する天体を準備する。思っていたよりも時間がかかって、結局家に帰れたのは明け方近く。。
観測一日目(木曜日)
カメラの電気系統の不備から、4つある赤外線チップのうちかろうじて一つだけがなんとか使える状態。でもノイズがひどいので、データが使い物になるかどうかは正直わからない。それでも観測時間を無駄にしてはいけないので、明け方まで観測は続ける。天気は良好。
いつものことながら観測一日目は徹夜なのでつらい。それに加え先週からの仕事三昧で体が悲鳴をあげている。偏頭痛もする。
でもね、、自分の好きなことが出来る、させてもらえる環境にいる、というのは素晴らしいこと。
いつの日か、私はきっと必ずハワイでのこの日々を懐かしく思うのだろう。
お茶を飲んでジキニンを飲んだら、体調が良くなった。
朝4時40分、観測終了。
夏なので、日の出が早い。
ふらふらになりがら一人車を運転して家に帰る。
観測二日目(金曜日)
ゆうべ(というか今朝)あまり眠れず。。。
体は疲れているのにね。 仕方ないので研究所に向かう。
しばらく働く。
うちの研究所は毎週金曜日の夕方、TGIF(Thanks God It's Friday)といって、ビールを片手に皆でわいわいと会話を楽しむという慣わしがある。
と、そこに去年うちの研究所を卒業して今はロサンゼルスの会社で働くメーガンの姿が!
友達の結婚式に出席するためにハワイに来たらしい。
ひとしきりしゃべって、観測の準備があったので、来週会う約束をとりつけ別れる。
彼女いわく、「コンピューターの前で一日の大半を過ごすのがイヤで天文から離れたのに、今の職場でもコンピューターの前で過ごす日々なのよ!」。
でも給料はおそらくうちの研究所の教授と同等か、それ以上。
なので生活レベルは格段にあがって快適になった、といっていた。
今日の観測は まぁまぁ。
強風のため、シーイング(揺らぎによる星像のぶれ)があまりよくない。 午前3時ごろになり、ますます風が強くなり、ドームをクローズせざるをえない状況になってしまった。
午前4時過ぎまでねばるが、無念。
本日はここまで。
明け方4時半、研究所外の駐車場へ。
小鳥のさえずりがもう聞こえる。
空はうっすらと明るくなってきているとはいえ、下弦の月の月明かりがあたりを暖かく照らしている。
しばし月光浴をする。
ハワイもすっかり夏だ。
冬場は明け方冷えるというのに、この時期こんな時間でも外は暖かい。
そのまま海に行ってしまいたい気分をこらえて、家に帰る。
だって、このまま海に行ったら ドザエモン になりかねないんだもん。(笑)
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