10.04.2012

6.5m双子マゼラン望遠鏡の一つ、クレイ望遠鏡からの眺め
さていよいよ実際の観測についてお話しします。

シカゴ大学が共同運営するマゼラン望遠鏡は標高約2000mのラス・カンパナス天文台にあります。この天文台には他にも、名古屋大学が所有する4mミリ波電波望遠鏡「なんてん」、2.5mのデュポン望遠鏡、 1mのスウォープ望遠鏡などが存在します。





ラス・カンパナス天文台は標高4200mのマウナケア山頂、それに次世代ミリ波サブミリ波望遠鏡アルマがそびえ立つ5000mのアタカマ高地と比べると標高は低いです。が、乾燥していて気流の流れも安定しているので、大気に依る星像のゆらぎがかなり小さいのです。

この星像のゆらぎの大きさは天文学業界ではシーイング(seeing)と呼ばれ、観測状況を現す用語として頻繁に使われます。例えば観測に行ってきた、と同僚に伝えると、シーイングはどうだった?と聞かれたりします。波長帯によってシーイングの大きさも変わるのですが、可視光では 0.8秒角以下だと良好だとされています。(ちなみに一秒は3600分の1度です。)

私の観測中はシーイングが0.5から0.7秒角、と恵まれた観測条件でした。

観測室内の様子。このときは見学者の方たちが大勢いらしたので、
カーネギー天文台のマイケル・ラウチ博士(右)が説明をしています。
普段の観測時は観測者と、望遠鏡と装置の制御を担当するオペレーターのみなので、もっと少人数です。

季節によって日の出と日の入りの時間が違うので、山頂へ行く時間も変わってくるのですが、2月の観測の時は夕方5時頃、宿泊施設を出てマゼラン望遠鏡観測所に向かいました。ちなみにチリは南半球に位置しているので2月は夏になります。宿泊施設から観測所までは車で数分、歩いて15分ほどの距離です。

観測所からの眺め






観測所1Fには簡易キッチンとトイレがあります。昼夜逆転生活を送る観測者にとって”朝”ご飯は午後4時頃。夜中にサンドイッチなど宿泊所のシェフが前もって作ってくれたものを観測室内で食べます。


太陽が沈むまでにコンピューターのセットアップをしたり、後の解析で必要となる装置特有のその日のデータを前もって取ったりします。

予定どおりの観測が行えれば万々歳なのですが、なかなか常にそうとはいきません。天気が悪かったり、また望遠鏡や装置の不具合があったりすると、問題に合わせて臨機応変に予定を変えていかなければならないのです。

私は幸いな事に3日間の観測すべて晴れ。シーイングも良好でした。

私の観測の前日までは天気が悪く、湿度が高過ぎて望遠鏡のドームすら開けられない状況だったらしいし、私の観測後はシーイングが悪くなったそう。

時には運も必要? な天体観測なのでした。

観測が終わるのは明け方。

2月の観測のときは朝6時半頃に観測施設を出て、宿泊施設へと向かいました。
お腹がすいていれば、施設で朝食をとることもできます。

次回は宿泊施設や天文台での食事について書いていきます。


ランキングに登録してみました。
←をポチしていただけると嬉しいです。



このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークに追加
Categories:

0 comments:

コメントを投稿

コメントはスパム防止のため承認制です。反映されるまで時間がかかるかもしれませんが、ご了承ください。