10.31.2012

〜ハワイ大学院生時代に綴っていたmixi日記からの転載シリーズ〜 
 2005年 7月 12日


1秒1ドル。 

これなんだと思いますか? 

私の給料? 



、、、、、。 



そんなわけない。(当たり前) 

これ、今回観測させてもらったケック望遠鏡の観測にかかる費用です。 



望遠鏡&装置の建設費、開発費、維持費、人件費などをもとに、観測するのに一体いくらのお金が使われているのか計算すると、観測時間1秒あたり約1ドルかかっていることになるのです。
 
1分で60ドル。 1時間で3600ドル。 夏だと一日約7時間の観測時間なので二万五千ドル。 

これって現在大学院でResearch Assistantとして働いている私の年収に匹敵する額です。
それだけの金額が一日の観測に費やされているのです。 

すごい金額です。このことを考えると身が引き締まります。 
1分1秒たりとも無駄にしてはいけない、と思います。


(注:2012年現在では、一晩あたりのコストは約5万4千ドル、日本円にして430万円にもなります。1秒約2ドルです。http://ast.noao.edu/system/tsip/more-info/time-calc-keck )

また観測、といっても誰でも好きなときに好きなだけ、使いたい望遠鏡を使えるわけでなく、望遠鏡ごとに制約があります。
 
たとえばこの10mのケック望遠鏡。 

カリフォルニア大(UC系全部)とカリフォルニア工科大(Cal tech)が共同で作った望遠鏡なので、ほとんどの時間はこの両大学に割りあてられています。 

といってもこの大学に在籍する人が自動的に時間をもらえるわけではありません。 
観測の意義、手法などを提案書に書き、審査をへてランクの高い提案書のみが選ばれます。
日本のすばる望遠鏡の場合は日本人枠、外国人枠があり、やはり審査の上で、トップランクの提案書から選ばれていきます。  

ハワイ大学の場合、マウナケアにある全ての望遠鏡を使える権利を持っています。手前味噌に聞こえるかもしれないけど、世界のどの研究所をとってみても、観測時間においてこんなに恵まれているところは他にどこにもありません。


ケックやすばるといった8-10m級の望遠鏡となると非常に競争率も高く、観測時間を獲得するのも大変。 
せっかく観測時間を頂けても、今回の私のように天気で駄目になってしまうのもよくあること。 

悲観せず、次にむけて頑張ろうと思う。 
といっても今回、少しはデータを取ることができたので、明日からはその解析にいそしむことにします。  

待ってろよ、光子!



ランキングに登録してみました。
←をポチしていただけると嬉しいです。



このエントリーをはてなブックマークに追加はてなブックマークに追加

0 comments:

コメントを投稿

コメントはスパム防止のため承認制です。反映されるまで時間がかかるかもしれませんが、ご了承ください。