また天文学内では ”観測屋さん” と親しみを込められて呼ばれている我々、観測的研究を行っている天文学者も、常日頃観測を行っているわけではありません。観測をするにはまずプロポーザルと言われている観測提案書を書いて、それが審査に通らなければいけないのです。望遠鏡にもよりますが、ケックやすばる、ハッブル望遠鏡といった名だたる望遠鏡はもちろん、最近運用が始まったチリの次世代サブミリ波アルマ望遠鏡になると競争率はかなり高くなります。
というわけで天文学者は数ヶ月ごとに観測提案書の締め切りに追われています。
また審査が通って無事観測時間がもらえたとしても、あいにく天気が悪かったり、装置に問題があったりすると貴重な観測時間も泡と消えます。そのため、すばる望遠鏡の観測室の天井には天文学者がティッシュペーパーで作った「てるてる坊主」がいくつもぶら下がっています。海外の天文学者にはハロウィーンのお化け道具かと勘違いされたりもします。
またわざわざ観測に行かなくても、例外はありますが天文データは取られてから通常1、2年たつと一般公開されるので、過去のデータが収蔵されているデータアーカイブを用いて研究を行うこともできます。裏を返せば、アーカイブにあるデータを使って出来る研究とされれば、新規の観測提案書は通らない、ということです。そのため提案書には新たな観測が必要とされている理由、そして観測によりなにがわかるのか、観測と解析の手法等など、詳しく書く必要があります。
次回はシカゴ大学が共同運営している、南米チリにあるマジェラン望遠鏡での観測についてお伝えします。
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