ハワイ島すばる望遠鏡の見学ツアー

標高4,200mのハワイ島マウナケア山頂にある、日本のすばる望遠鏡。

一般の方でも無料で見学ができること、ご存知ですか？

意外に知られていないようなので、今日は見学について書こうと思います。

すばる望遠鏡の一般見学ツアーは、ハワイの祝祭日をのぞく平日３日間（火曜、水曜、木曜）、１日３回行われています。時間は１０：３０、１１：３０、そして１３：３０。

一回のツアーの所要時間は約４５分。
１０：３０と１３：３０は日本語、１１：３０のツアーは英語となります。

以下、1. 山頂ツアーの注意点と、２　見学案内ページと申込方法　について書きます。


1.  山頂ツアーの注意点

山頂に登れるのは１６歳以上の健康な方
　　

マウナケア山頂は非常に乾燥しており、酸素も地上の６０％しかありません。
生命体にとって非常に過酷な地です。
画像は私が在籍していた、ハワイ大学天文学研究所より

　マウナケアの標高は4,200 メートル。3,776メートルの富士山よりも高く、酸素も地表の６０％しかありません。人体には非常に過酷な環境です。

若い人の場合、心肺機能がまだ未発達で高山病にかかりやすいため、１６歳未満の方の山頂訪問は許可されていません。妊娠中の方や健康に不安のある方も同様です。

何せ万が一山頂で事故や重大な体調不良があった場合、救急車や救急ヘリコプターは4,200メートルの山頂まで来れないのです。この場合担架に病人を載せ、四輪駆動車で下山し、途中の地点で救急車と落ち合うことになります。


マウナケアはハワイアンにとって聖地である

マウナケアの女神、ポリアフ

　マウナケアは、ハワイアンの創世記にも出てくる、聖地の中の聖地です。

我々天文学者はハワイ州、ハワイアンの土地をお借りしているのです。実際、山頂の一番高い地点はハワイアンの儀式に使われており、そこには望遠鏡はたてられていません。

画像はこちらからお借りしました

皆様もマウナケアは普通の観光地ではなく、聖地であることを重々にご理解くださるとありがたいです。


山頂までの往復の移動手段はご自分で手配

マウナケア山頂付近への出入りが許可されている８つのツアー会社の一つ、
Jack's Hawaii の日本語ページ

　すばる望遠鏡では、山頂までの移動・交通手段は提供しておりません。なので、ご自分で四輪駆動車を運転して来ていただくか、あるいは地元のツアー会社に頼むことになります。
　
普通の乗用車で山腹（２９００メートル）の地点にあるオニヅカセンターまで行くことは可能ですが、それより上は道路が舗装されておらず、四輪駆動の車が必要です。

麓の街ヒロとマウナケアのアクセスロードを結ぶサドルロード、および山頂の道は通常、レンタカーの保険が効かないこともご注意ください。もし万が一事故や車の故障があった場合、自己負担となります。

　マウナケアへの入山が許可されているツアー会社のリストはこちら。

現在８つの会社が許可されています。こちらのリストに掲載されていない会社は無免許、不法である可能性が高いので、くれぐれもご注意ください。

ツアー会社の車（バン）の場合、暖かいジャケットも用意してくれますし、もしもの時のために酸素マスクなども常備しています。運転手もCPRなどの医療訓練を受けています。
　


オニヅカ・ビジター・インフォメーション・ステーション（OVIS)で途中休憩
　

マウナケア山頂までは、麓の街ヒロから四輪駆動車でなんと、約１時間３０分で登れてしまいます。

けれど急に４２００メートルの山頂に行くと、高山病になってしまう恐れが。
２９００メートルの山腹中間地点にあるオニヅカ・ビジター・インフォメーション・ステーション（OVIS)で１時間ほど、体を高地に慣れさせる必要があります。
　
オニヅカでは毎日、夕方６時から夜９時まで、星空観察が行われています。

画像は Maunakea visitor information station のウェブサイトより

すばるのスタッフもボランティアとして星空観察のアシスタントをしていますし（英文記事はこちら）、地元ハワイ大学ヒロ校の大学生もボランティアで活躍しています。


　＊その他、より詳しい注意事項はこちらのページをご覧になってください。




２.  見学案内ページと申込方法

注意事項をずらずらと書いたので、脅かしてしまっていたらすみません（汗）。

マウナケア山頂は文化的に大変貴重で、物理的には過酷な場所であるということをお伝えしたかったのです。

私は大学院時代、２００晩以上をマウナケアで過ごしたのですが、未だにマウナケアへ行く度に大地と宇宙を感じ、身震いがします。

こんな場所に望遠鏡を作ろうと思い、実際に作ってしまった人類の飽くなき好奇心。そして昼夜望遠鏡を支えるエンジニアやスペシャリストの方々を深く尊敬しています。

是非皆様とも、この感動を共有したいと思っています。

すばるのHPへ行くと、右の「おすすめコンテンツ」に、一般見学案内のボタンがあるのでそこをクリックします。あるいは、直接こちらのリンクから。

すばる望遠鏡のHP（日本語）
一般見学案内へのリンクはページ右の「おすすめコンテンツ」内にあります。

一般見学案内のページはこのようになっています。

見学可能な日時と申し込みは、ページ右のリンク「見学可能な日とお申込」をクリック。
すると、カレンダーが表示されます。

安全上の理由により、一度に見学できるのは最大８人までです。
カレンダーに赤文字で Full と書かれている日時は、空きがないことを表します。

黒文字の日時はまだ空きがあることを示しており、数字は空きの人数を意味しています。

夏休みやゴールデンウィーク期間は混み合いますので、早めに予約してくださいね。

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山頂は夏でも冷えますので、ジャケットは必須！
服装に関する注意事項はこちらのページを確認ください。

見学中はこのような格好になります。写真はすばるのHPより。
ヘルメットはすばる望遠鏡から借りられます。

そしてハワイであっても、マウナケアではサンダルは厳禁！

歩きやすいスニーカーと長ズボン、ジャケットと手袋を持っていらしてくださいね。

限りなく宇宙に近い山で、日本の最高技術の結晶である「すばる望遠鏡」を皆さんに見ていただけたら、と思っています。