10.07.2012

右下・宿泊施設(ロッジ)から双子マゼラン望遠鏡を望む
さて、明け方山頂での観測を終えた天文学者は、宿泊施設に戻ってきて朝食です。疲れている場合はそのまま自分の部屋(個室)へ行って就寝です。

人によって起床時間も違いますが、私の場合起きるのは昼過ぎ、2時、3時頃でしょうか。まさしく昼夜逆転の生活です。夕飯(というより朝食)は5時頃。

ただし観測が終わりその日のうちにアメリカへ帰国、という場合は睡眠もそこそこ、昼頃にシャトルバスで下山します。




クイーンサイズの大きなベッド
向かいにはデスク
共同施設の正面
カフェテリア(食堂)があります
部屋からの眺め
広大な景色がどこまでも続いていきます


山頂はもちろんのこと、宿泊施設でもインターネットに接続できるので、取ったばかりのデータをシカゴのコンピュータに転送したり、次の日の観測の準備や天気のチェックをします。また家族に「生きてるよー!」のメールを書いたりします。


ラス・カンパナス天文台はもともとカーネギー研究所が所有、そして運用しています。
カーネギー研究所は宇宙膨張を発見したエドウィン・ハッブル博士、暗黒物質(ダークマター)の存在を確認したヴェラ・ルービン博士など、蒼々たる天文学者を輩出していることで有名です。ちなみにハッブル望遠鏡はこのエドウィン・ハッブル博士の功績をたたえ名付けられました。

私が観測所を訪ねたときは折しも、このカーネギー研究所天文台に多額の寄付金を行った方々がVIPとして招かれていました。アメリカではいわゆる億万長者(ミリオネアー)の方々からの、大学や研究所に対する寄付金がかなりの額にのぼります。私の勤め先のシカゴ大学がマゼラン望遠鏡の共同運営に携わることができたのも、こういった理解ある人々のおかげなのです。我々研究者としては本当にありがたいことです。

南米のカクテル、ピスコサワーを注ぐシェフ。
(注:私は観測前だったので一口味見しただけです、本当です!!!)
晩餐会の準備をするスタッフ

こちら前菜。アボカドとツナ。
メインはサーモンのパイ包み、デザートはカスタードケーキのベリーソースでした。


天文台では年に一度、多額の寄付金を行った方を招いて観測所で晩餐会。また観測所内のツアーを行います。前回の記事で、観測室内にたくさんの見学者がいる様子を写真で見せましたが、実は彼らはVIPの方々だったのでした。

そして私は大変ラッキーなことに、ちょうど観測でその場に居合わせたため晩餐会に参加。シェフが腕によりをかけた、標高2,000mでのフルコースのディナーは美味しく、またいろんな方とお話できて大変嬉しかったです。


普段の山頂での食事も結構美味しかったです。チリは豆料理が多く、また海に面しているので魚介類も豊富です。日本人の口に合うのかもしれません。


ちなみに天文台でのご飯が大変においしかった、ということを今年7月のパリでの研究会で、日本の某大学のY教授に話したら、

    「えー! むっちゃまずかったでー。」

と思い切り否定されてしまいました。けれど周りの欧米天文学者は皆一様にラス・カンパナスの食事は美味しい、と主張。

うーむ。

アメリカ生活約9年+フランス約2年。
私の味覚も欧米仕様になってきた、ということなんでしょうか。

他の日本人の方々の意見を聞いてみたいと切に思う、今日この頃です。


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