去年の暮れにハンガリーを訪れたのですが、行きはエール・フランスでパリ経由。
帰りはKLMオランダ航空でアムステルダム経由でした。
両航空会社とも機内誌が非常に面白かったので、頂いてきました。
左はエールフランス、 右はKLMオランダ航空の機内誌。 |
200ページほどで、広告も多いのですがオシャレだし、なんといっても記事が多岐にわたっていて素晴らしいのです。ヨーロッパの知識階級の層の厚さを感じます。
アメリカでは航空会社の経営がうまくいっていないせいか、機内誌に力を入れていないせいか、これほどクオリティの高い機内誌は見たことがありません。
KLMオランダ航空の機内誌で特に面白かったのが、火星への人類移住計画 Mars One (マーズワン)です。
火星でのスペースコロニー(予想図) MarsOneウェブサイトより |
オランダの起業家 Bas Lansdorp が発案し、ノーベル賞物理学者の Gerard 't Hooft も支持しているこの計画。2023年までには人類を火星に送り、火星での人類居住を開始させるとか。
KLM航空の機内誌 ノーベル物理学受賞者の Gerard 't Hooft 博士がインタビューされています。 |
志願者の選考から、火星探査や移住の詳しい様子はなんと リアリティ・TVショー として放映し、放映権や広告料から得られるお金を開発費へ回すそうです。
しかしこの計画、問題は
火星への片道切符
であるということです。
そう。地球を飛び立って火星についたら最後、そこから抜け出せないのです。
(もしかしたら何十年後かには可能になるかもしれませんが。)
中学・高校で習ったと思うのですが、月の重力は地球の約六分の一。16.7%です。
ところが火星の重力は地球の約37%。つまり月の重力の二倍以上です。
そのため火星から抜け出すためには、月面探査機よりも多くの燃料が必要となります。
打ち上げのプラットフォームを火星で建設するのも大変です。
帰郷ミッションが 非常に高価で時間がかかるのはこのためだそう。
なので、マーズワンでは思い切って片道だけの旅行として計画を進めています。
NASAはマーズワン計画に強い懸念と疑問を抱いていますが、現在、世界中から何千人と志願者はいるようです。Mars One のウェブサイト(こちら)で応募が出来るようなので、地球に飽きて仕方がない方はどうぞ。
ただし私、責任はとれませんが、、、! (笑)
応募ページ(英語) |
日本語の応募登録ページ |
火星では自給自足生活が送れるよう、ミニ人工生態系を創るようです。
人工生態系で私が真っ先に思い出したのが、アメリカのアリゾナで昔行われた、バイオスフィア2という実験です。
バイオスフィア2 今でも存在しており、現在は生物学の研究に使われています。 写真はWikipediaより |
これは外界から隔離された空間に科学者8人を置き、人工の生態系で人間が生存できるか否かを検証する、という実験でした。
ですが酸素や食料が足りなくなったり、怪我人が出たり、参加メンバーの心理状態が悪化するなどして、結局失敗に終わりました。
マーズワンでも地上で、閉鎖された空間の人工生態系を作って、そこに志願者を住まわせて実験してみるそうですが、結果がどうなるのか大変興味深いです。
生態系は人間が想像する以上に複雑だし、素人の私からみると難しそうですが、学術的に大変おもしろい研究だと思います。
火星への片道旅行はちょっと、、、でも宇宙へは行ってみたい、というあなた。
Virgin Galactic (ヴァージン・ギャラクティック)という宇宙旅行がもうすぐ始まります。
宇宙船 |
ただしこちら、無重力下での宇宙遊泳はわずか6分間です。
もっと長く宇宙空間に滞在したい! という方は、ロシアにコンタクトするのもいいかもしれません。ロシアの宇宙船ソユーズは、お金をだせば一般人でも載せてもらえます。
これまでにもシルク・ドゥ・ソレイユの創業者ギー・ラリベルテなど7人が宇宙旅行者としてソユーズで国際宇宙ステーションに行っています。
ギー・ラリベルテさん 純資産260億ドル所有だそうです。 |
Virgin Galactic よりも宇宙に滞在する期間が長いのですが、お値段も数十億円かかるみたいです。
こちらは、彼が宇宙に行った際のビデオブログです。
赤鼻のパフォーマンスが特徴的です。
宇宙から地球や銀河を眺めてみたい気持ちはありますが、清貧生活を送る私は、マウナケアで研究に勤しむことにします。
=参考文献=
* Mars Oneホームページ(英語)
* Phys.org の記事(英語)
*テレスコープマガジン、インタビュー記事(日本語)
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